欧州最大カジノリゾート開業 地中海の島国・キプロスになぜ? 背景に“複雑な歴史”(2023年7月18日)

欧州最大カジノリゾート開業 地中海の島国・キプロスになぜ? 背景に“複雑な歴史”(2023年7月18日)

欧州最大カジノリゾート開業 地中海の島国・キプロスになぜ? 背景に“複雑な歴史”(2023年7月18日)

 11日、980億円を超える費用を投じたヨーロッパ最大のカジノリゾートがオープンした。その場所は、地中海に浮かぶ島国・キプロス。なぜキプロスなのだろうか?背景にある「複雑な歴史」をひも解く。

■カジノの広さ“テニスコート28面分”

 東地中海に浮かぶ島国・キプロス。四国の半分ほどの国土に、およそ124万人が暮らしている。

 ギリシャ神話で、愛と美の女神アフロディーテが誕生した場所とされている小さな島に11日、ヨーロッパ最大のカジノリゾートがオープンした。その名も「シティ・オブ・ドリームス メディテレーニアン」。

 このカジノリゾートは、建設に980億円を超える費用が投じられ、3年がかりで完成した。

 14階建てのホテルに7500平方メートル、テニスコート28面分の広さを誇るカジノを併設。カードゲームなどを行う100台のカジノテーブルや1000台のスロットマシンが設置されている。従業員の数は、およそ2000人にも上る。

■最大級カジノ建設に…島民は抵抗ある?

 小さな島に開発された巨大カジノリゾート。23年前からキプロスに住む鹿子木りささん(52)に話を聞いた。

 鹿子木さん:「田舎の島というか、これから発展していく発展途上の国なんだなと思って住み始めた。あっという間に近代的な国になってきている」

 急速な開発に驚きを隠せないとしながらも、ヨーロッパ最大のカジノ建設に島民の抵抗はほとんどないという。

 鹿子木さん:「あれだけ大きいのがきたのは初めて。(キプロスは)オンラインカジノやオンラインポーカーをやっている会社がある。カジノに対してネガティブな印象はない」「(Q.なぜキプロスに欧州最大のカジノが?)(キプロスは)ヨーロッパ・中東・アフリカ・アジア・トルコから。地理的な面でいろんな国、人種が混ざっているところもあったので、特に中東のお金持ちの方とか、ちょっとギャンブルとか遊んだりする時に」

 カジノリゾートの運営会社は、高額消費を期待できる観光客が、年間およそ30万人増えると見込んでいる。

■なぜキプロスに欧州最大カジノ? 

 キプロスに、ヨーロッパ最大のカジノリゾートがオープンした背景は地理的要因だけではない。

 キプロスはヨーロッパ、アジア、アフリカの3大陸の交差点に位置し、古代から様々な文化が入り込み、住民もギリシャ系とトルコ系が入り混じっていた。

 しかし、1960年にイギリスから独立すると、ギリシャ系住民とトルコ系住民の衝突が激化し、1983年にトルコ系住民らが「北キプロス・トルコ共和国」として独立を宣言した。

 そんな中で2009年、ギリシャの財政問題をきっかけにしたギリシャ危機が起こると、関係の深かったキプロスの銀行ではギリシャ国債が不良債権化し業績が悪化。「キプロスショック」ともいわれる金融危機が発生した。

 一方でAP通信によると、トルコ系である北側では当時からカジノが合法化されていて、キプロスを訪れた観光客らが北側に流れてしまっていたという。

 そこで当時のアナスタシアディス大統領は、金融・財政危機への対処の1つとして、2015年にキプロスでカジノを合法化したのだ。すると、260万人前後だったキプロスへの観光客は、2019年には400万人を超えるほどに急増した。

 ただ、かつてキプロスはタックス・ヘイブン=租税回避地としても知られ、マネーロンダリングの疑惑も挙がっていた。

 そうした地に、カジノが一大産業として広がることで「腐敗」がはびこるのではないかとの懸念も起きていると、AFP通信は伝えている。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年7月18日放送分より)
[テレ朝news]



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